公開日 2026年9月3日 / 最終更新 2026年9月3日
「築45年だから旧耐震?」「耐震基準で査定額はどのくらい変わる?」——不動産の耐震性は築年数そのものではなく、いつの耐震基準で建てられたかで決まります。三重で家を売るときに知っておきたい、耐震基準の区分と査定への影響を解説します。
日本の建物の耐震基準は、大きな地震のたびに見直されてきました。不動産の実務でよく使われる区分は次の3つです。
| 区分 | 建築確認日の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 旧耐震基準 | 1981年(昭和56年)5月31日以前 | 震度5強程度の中規模な地震で建物が「倒壊しない」ことを目標にした基準 |
| 新耐震基準 | 1981年(昭和56年)6月1日〜2000年(平成12年)5月31日 | 震度6強〜7程度の大地震でも「倒壊・崩壊しない」ことを目標にした基準 |
| 2000年基準(現行基準) | 2000年(平成12年)6月1日以降 | 新耐震基準の枠組みを維持しつつ、木造住宅の地盤・接合部・耐力壁の配置をさらに具体化した基準 |
①1978年の宮城県沖地震を受けて1981年に建築基準法施行令が改正され、目標性能が「震度5強程度で倒壊しない」から「震度6強〜7程度でも倒壊・崩壊しない」へ引き上げられました。1995年の阪神・淡路大震災では、この境目の効果が実証され、一般財団法人日本耐震診断協会の調査によれば被災した木造家屋の98%が旧耐震基準の建物だったとされています。(出典:日本耐震診断協会)
②新耐震基準の木造住宅でも一部倒壊が出た反省から、2000年に建築基準法施行令が再改正されました。地盤に応じた基礎仕様・柱と土台の接合金物・耐力壁のバランス配置の3点が新たに規定され、これが「2000年基準」です。この日付は建築年ではなく「建築確認申請日」が基準なので、築年数の表示だけで判定できない点に注意してください(確認方法は次の見出しで解説)。
| 方法 | ポイント |
|---|---|
| ① 建築確認済証・検査済証の日付 | 「確認済証交付日」が1981年6月1日以降であれば新耐震基準。いちばん確実な方法です。 |
| ② 建築年月日を目安にする | 確認申請から完成まで数か月かかるため、1982年(昭和57年)以降に完成した建物であれば、ほぼ新耐震基準に該当します。 |
| ③ 登記事項証明書の「原因及びその日付」欄 | これは税制優遇の基準日(昭和57年1月1日)と対応するもので、建築確認日そのものとは別の日付です。混同しないよう注意してください。 |
| ④ 建築計画概要書の取得 | 役所の建築指導課で取得できます。古い建物で書類が残っていない場合の確認方法です。 |
築古・古家の売却全般については築古・古家の売却・買取ガイド【三重県版】もあわせてご覧ください。
同じ築年数・同じ立地・同じ広さの物件でも、耐震基準の区分によって成約価格の水準そのものが変わる傾向があります。理由は次の3つです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ① 住宅ローンが通りにくくなる | 旧耐震基準の建物は担保評価が下がりやすく、希望額を借りられない、金利優遇が受けられないことがあります。買える人の母数が新耐震基準の物件より少なくなります。 |
| ② 税制優遇が自動では使えない | 住宅ローン控除や登録免許税・不動産取得税の軽減には「昭和57年1月1日以後に建築」という要件があり、これに該当しない場合は耐震基準適合証明書などの追加書類が必要です。 |
| ③ 心理的な不安を感じやすい | 実際には耐震診断・改修済みで安全性に問題がない物件でも、その事実が伝わっていなければ相場より安く評価されがちです。 |
以上の理由から、旧耐震基準の物件は同条件の新耐震基準の物件と比べて1〜3割程度、成約価格が低くなる傾向があるとされています。下落幅は立地やリフォームの有無、耐震診断の実施状況によって大きく変わるため、無料のAI査定で仲介・買取それぞれの概算額を確認してみることをおすすめします。
金融機関の住宅ローン審査では、旧耐震基準の建物は担保評価が下がる、融資期間が短くなる、フラット35など特定の商品の利用条件を満たさない、といった扱いになりがちです。買主候補の資金調達のハードルが上がる分、購入検討者の数自体が絞られ、売れるまでの期間にも影響します。
一方、住宅ローン控除には次のいずれかの要件があります。
| 区分 | 住宅ローン控除などの適用条件 |
|---|---|
| 昭和57年1月1日以後に建築(登記上) | 追加書類なしで適用可 |
| 昭和56年12月31日以前に建築 | 耐震基準適合証明書・耐震等級1以上の建設住宅性能評価書・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれかが必要 |
旧耐震基準の建物でも、耐震基準適合証明書などを取得すれば、買主は新耐震基準の建物と同じ税制優遇を受けられます。売却を検討し始めた早い段階で、証明書を取得できるかどうかを調べておくと、買主の不安と手間を減らし、価格交渉で不利になりにくくなります。(出典:国税庁)
| 仲介の場合 | 買取の場合 | |
|---|---|---|
| 買主 | 個人(住宅ローン利用が大半) | 不動産会社(現金一括・自社ローン) |
| 旧耐震の影響 | 融資のハードルが上がり、買主が見つかるまでの時間が長引きやすく、価格交渉でも下押し圧力を受けやすい | 個人の住宅ローン審査の影響を直接は受けない。大きく買取価格が下がるとは限らない |
| 査定の観点 | 耐震基準・築年数が重視されやすい | リフォーム・解体・再建築の可能性を織り込み、傷み具合や土地としての価値が反映される |
「早く確実に現金化したいが、旧耐震で仲介での買い手探しに時間がかかりそう」という場合には、買取という選択肢も検討する価値があります。仲介での想定価格と買取での想定価格を並べて比べたうえで判断するのが実務的です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 建築確認日を先に確認する | 「築45年だから旧耐震」と思い込まず、正確な区分を調べる。1982年前後の物件は実際には新耐震基準に該当していることも珍しくありません。 |
| ② 耐震診断・証明書の取得を検討 | 買主の税制優遇の対象になり、購入検討者の幅が広がります。 |
| ③ 耐震改修の実績を残す | 改修履歴や診断結果は、買主・仲介会社への説明材料として有効です。 |
| ④ 仲介と買取の両方で比較 | 売却方法によって価格や期間の差が出やすいため、両方の想定額を見比べる。 |
| ⑤ エリアの相場・地盤条件も確認 | 資産価値は土地の条件にも左右されます。 |
出典:国土交通省「住まいの耐震化」/みんな安心住まいサポートセンター「<新耐震基準>を満たす住宅とはどういう意味ですか」/国税庁 No.1211-3「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合」/国税庁 No.1215「要耐震改修住宅を取得して耐震改修を行い、令和3年までに居住の用に供した場合」/一般財団法人日本耐震診断協会「阪神・淡路から20年。耐震基準が明暗をわけた」(2026年9月時点。制度の詳細および最新の要件は各機関の公表内容をご確認ください)
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