公開日 2026年9月6日 / 最終更新 2026年9月6日
不動産を売って利益が出ると、譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)がかかります。税率は所有期間で倍近く変わり、使える特例を知らないまま売ると数百万円単位で損をすることがあります。このページでは計算のしかたを国税庁の資料にもとづいて整理し、そのまま試せるシミュレーターを用意しました。
不動産を売ったときの税金は、給与などとは分けて計算します(分離課税)。計算の順番は次のとおりです。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① 譲渡価額 | 売れた金額そのもの。 |
| ② 取得費を引く | 買ったときの代金と購入時の諸費用。建物は持っていた年数ぶんの減価償却費を差し引いた残りを使います(土地は減価償却しません)。 |
| ③ 譲渡費用を引く | 仲介手数料、売主が負担した印紙税、土地を売るための建物の取壊し費用など。 |
| ④ 特別控除を引く | マイホームの3,000万円控除など。ここまでが「課税譲渡所得」です。 |
| ⑤ 税率をかける | 所有期間の区分に応じた税率をかけて、所得税・復興特別所得税・住民税を出します。 |
つまり、買ったときより安く売れていれば譲渡所得税はかかりません。三重県で相続した実家を売るケースの多くは、建物の価値がほぼ残っていないぶん利益が出やすく、逆に「昭和後期にバブル期の価格で買った土地」は損失になっていることもあります。
所有期間の判定日は引き渡し日ではなく、売った年の1月1日です。ここを勘違いすると税率が倍近く変わります。
| 区分 | 所有期間(売った年の1月1日時点) | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
| 軽減税率(6,000万円以下の部分) | 10年超・マイホーム | 10% | 0.21% | 4% | 14.21% |
| 軽減税率(6,000万円超の部分) | 10年超・マイホーム | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
復興特別所得税は「所得税額の2.1%」です(所得税15%なら 15%×2.1%=0.315%)。表の住民税5%・9%・4%は、市町村民税と道府県民税の合計です。内訳の割合は市町村によって異なります(たとえば名古屋市の長期は市民税4%+県民税1%、名古屋市以外の市町村は市民税3%+県民税2%)が、合計は変わりません。(出典:名古屋市)(出典:岡崎市)
相続で取得した不動産は、亡くなった方の取得時期と取得費をそのまま引き継ぎます。相続してすぐ売っても短期譲渡所得にはなりません(被相続人の所有期間が5年を超えていれば長期です)。
売却価格と購入時の情報を入れると、税額の目安と手残りを計算します。入力内容は送信されず、ブラウザの中だけで計算します。
売却価格と購入時の情報を入れると、所得税・復興特別所得税・住民税の目安と手残りを計算します。入力した内容はどこにも送信されず、ブラウザの中だけで計算します。
所有期間は「売った年の1月1日時点」で判定します。相続で取得した不動産は、亡くなった方が買った時期をそのまま引き継ぎます。
建物は買ったときの金額をそのまま引けません。持っていた年数ぶんの減価償却費を差し引いた残りが取得費になります(土地は減価償却しません)。
買取の場合は仲介手数料がかからないため、ここは印紙税や解体費用などだけになります。固定資産税や修繕費は譲渡費用にはなりません。
この計算はご入力内容だけをもとにした概算です。特例の適用可否は個別の事情で変わり、実際の申告額とは異なる場合があります。最終的な税額は税務署または税理士にご確認ください。当社は税務代理・税務相談を行いません。
同じ入力欄をまとめた単独ページも用意しています。→ 譲渡所得税シミュレーター(単独ページ)
取得費が分からない場合、売却価格の5%を取得費とみなすことができます(概算取得費)。これは救済措置ですが、実際の取得費よりずっと小さいことが多く、そのぶん利益が大きく計算されます。
三重県で1998年に土地500万円・建物800万円・購入諸費用50万円で買った木造の戸建て(1,200万円で2026年に売却・長期譲渡)を例にすると、次のようになります。
| 契約書がない(概算5%) | 契約書がある(実額) | |
|---|---|---|
| 取得費 | 60万円 | 725万400円 建物は減価償却624万9,600円(28年ぶん)を控除した後 |
| 課税譲渡所得 | 1,083万8,000円 | 418万7,000円 |
| 税額(20.315%) | 220万1,700円 | 85万400円 |
差は135万1,300円です。売る前にまず、次の書類が残っていないか探してください。
| 探すもの | ポイント |
|---|---|
| 売買契約書・重要事項説明書 | もっとも確実。土地と建物の内訳が書かれています。 |
| 購入時の領収書・仲介手数料の領収書 | 購入諸費用として取得費に入れられます。 |
| 住宅ローンの金銭消費貸借契約書 | 借入額から購入価格を推定する材料になります。 |
| 購入時のチラシ・パンフレット | 分譲時の価格表が残っていることがあります。 |
| 登記事項証明書・登記済権利証 | 取得時期の確認に使えます(金額は分かりません)。 |
建物は買ったときの金額をそのまま引けません。持っていた年数ぶんの減価償却費を差し引いた残りが取得費になります。非業務用(マイホーム・空き家)の場合、法定耐用年数を1.5倍した年数に対応する償却率を使います。
| 構造 | 法定耐用年数(住宅用) | 1.5倍(1年未満切捨て) | 償却率 |
|---|---|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 22年 | 33年 | 0.031 |
| 木骨モルタル造 | 20年 | 30年 | 0.034 |
| 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 | 70年 | 0.015 |
| 軽量鉄骨造(骨格材3mm以下) | 19年 | 28年 | 0.036 |
| 軽量鉄骨造(3mm超4mm以下) | 27年 | 40年 | 0.025 |
| 鉄骨造(骨格材4mm超) | 34年 | 51年 | 0.020 |
計算式は「建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数」で、取得価額の95%が上限です。経過年数の端数は6か月以上なら1年、6か月未満は切り捨てます。(出典:国税庁 No.3261)
⚠ 国税庁が「譲渡所得の内訳書」に載せている非業務用建物の償却率は、木造・木骨モルタル・(鉄骨)鉄筋コンクリート・金属造①(3mm以下)・金属造②(3mm超4mm以下)の5区分です。上の表の「鉄骨造(骨格材4mm超)」の行だけは内訳書に掲載がないため、同じ規則(法定耐用年数34年 × 1.5 = 51年に対応する旧定額法の償却率)で当サイトが補ったものです。
| 譲渡費用になる | 譲渡費用にならない |
|---|---|
| 売るために支払った仲介手数料 | 固定資産税・都市計画税 |
| 売主が負担した印紙税 | 維持管理のための修繕費 |
| 境界確定などの測量費 | 売却代金の取立てにかかった費用 |
| 借家人に支払った立退料 | 売却前に自分の都合で行ったリフォーム費用 |
| 土地を売るための建物の取壊し費用と建物の損失額 | 引っ越し費用(新居への転居のための費用) |
| より有利な条件で売るために支払った違約金 | 抵当権抹消の登記費用 |
| 借地権を売るときの名義書換料 | — |
判断の軸は「その不動産を売るために直接かかった費用かどうか」です。持ち続けるためにかかった費用は入りません。左の列は国税庁 No.3255 と No.3202 が挙げているもの、右の列のうち固定資産税・修繕費・取立費用も No.3255 の記載です。(出典:国税庁 No.3255)(出典:国税庁 No.3202)
なお引っ越し費用と抵当権抹消の登記費用は、国税庁の一覧には「ならないもの」として明記されていません。ただしどちらも「その不動産を譲渡するために直接要した費用」には当たらないとして、譲渡費用に含めない扱いをするのが一般的です。実際の申告で迷う場合は税務署にご確認ください。
特例には期限があります。期限を過ぎてから知っても取り返せません。
| 特例 | 効果 | 主な要件と期限 |
|---|---|---|
| 居住用財産の3,000万円特別控除 | 利益から最大3,000万円を控除 | 自分が住んでいた家。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。前年・前々年に同じ特例を受けていないこと。売った年・前年・前々年にマイホームの買換えや交換の特例を受けていないこと。親子・夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外。 |
| 10年超所有の軽減税率 | 6,000万円以下の部分が14.21%に | 売った年の1月1日時点で、家屋と敷地の所有期間がともに10年超。3,000万円控除と併用できます。 |
| 被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除 | 利益から最大3,000万円を控除(相続人が3人以上なら2,000万円) | 昭和56年5月31日以前に建築された家。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年(令和9年)12月31日までの売却。売却代金1億円以下。相続時から売却時まで事業・貸付け・居住に使っていないこと。耐震基準に適合させるか取り壊すこと。 |
| 相続財産の取得費加算 | 納めた相続税のうち対応分を取得費に加算 | 相続税を納めていること。相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(相続開始から約3年10か月)に売ること。空き家の3,000万円特別控除とは併用できません。 |
先ほどの1,200万円の例(相続した実家・取得費不明・長期譲渡)で、空き家の3,000万円特別控除が使えるかどうかを比べると次のようになります。
| 特例なし | 空き家の3,000万円控除あり | |
|---|---|---|
| 課税譲渡所得 | 1,083万8,000円 | 0円 |
| 税額 | 220万1,700円 | 0円 |
| 手残り | 923万6,300円 | 1,143万8,000円 |
要件を満たすかどうかで、この価格帯でも220万1,700円の差が出ます。詳しくは相続した実家・不動産の売却ガイド【三重版】もあわせてご覧ください。
買取は仲介手数料がかからないぶん譲渡費用が小さくなり、その分だけ利益が大きく計算されます。一方で売却価格は仲介より低くなるのが一般的なので、結局は「手残り」で比べるしかありません。三重県で相続した実家(取得費不明・長期譲渡・特例なし)を売る場合の試算です。
| 仲介で1,200万円で成約 | 買取で950万円 | |
|---|---|---|
| 売却価格 | 1,200万円 | 950万円 |
| 仲介手数料(上限・税込) | 46万2,000円 | 0円 |
| その他の譲渡費用 | 10万円 | 10万円 |
| 課税譲渡所得 | 1,083万8,000円 | 892万5,000円 |
| 税額(20.315%) | 220万1,700円 | 181万3,000円 |
| 手残り | 923万6,300円 | 758万7,000円 |
この例では売却価格の差が250万円あるのに対し、手残りの差は164万9,300円まで縮みます。利益が大きいほど税額も大きくなるため、価格差の一部が税額差で相殺されるからです。ここに「売れるまでの期間」「内覧の手間」「契約不適合責任を負うかどうか」といった条件を足して判断することになります。
なお税額が安いこと自体は目的になりません。買取を選ぶ理由は、早く確実に現金化できること、仲介では買主が付きにくい物件でも売れることであって、節税ではありません。
| 状況 | 先に確認すること |
|---|---|
| 買ってから5年前後で売ろうとしている | 売った年の1月1日時点で5年を超えるか。数か月ずらすだけで税率が39.63%から20.315%に下がることがあります。 |
| 住んでいた家を売る/すでに引っ越している | 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日を過ぎていないか。過ぎると3,000万円控除は使えません。 |
| 相続した実家を売る | 建築が昭和56年5月31日以前か、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れるか、2027年12月31日に間に合うか。 |
| 相続税を納めた | 相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売れるか。空き家の3,000万円控除とどちらが有利かを比べます(併用不可)。 |
| 買ったときの契約書が見つからない | 探し直す価値があります。この記事の例では135万1,300円の差が出ました。 |
| 10年以上住んだ家を売る | 3,000万円控除で引ききれない利益が残る場合、軽減税率で6,000万円までの部分が14.21%になります。 |
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 売った年 | 引き渡しと代金の受け取り。特例に必要な書類(住民票の除票、登記事項証明書、耐震基準適合証明書など)をこの時期に集めます。 |
| 翌年2月16日〜3月15日 | 確定申告。所得税と復興特別所得税を納めます。特例を使うには申告が必須です。 |
| 翌年6月ごろ〜 | 住民税の通知が届き、6月・8月・10月・翌1月の年4回(または給与天引き)で納めます。所得税を払った後に住民税がくるので、資金を残しておく必要があります。 |
売却代金をすべて使ってしまうと、翌年の納税で困ることがあります。税額の目安を先に把握しておくのが、いちばん確実な備えです。
令和9年(2027年)1月1日以後に生ずる所得から、防衛特別所得税(所得税額の1%)が新設されます。ただし同時に、復興特別所得税が2.1%から1.1%に引き下げられます(課税期間は10年延長)。
| 2026年12月まで | 2027年1月から | |
|---|---|---|
| 復興特別所得税 | 所得税額の2.1% | 所得税額の1.1% |
| 防衛特別所得税 | — | 所得税額の1% |
| 合計の付加税率 | 2.1% | 2.1% |
| 長期譲渡所得の実効税率 | 20.315% | 20.315% |
国税庁のQ&Aでも「改正前後で、合計税率(2.1%)に変更はありません」と明記されています。2026年中に急いで売る理由にはなりません。(出典:国税庁)
出典:国税庁 No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」/国税庁 No.3208「長期譲渡所得の税額の計算」/国税庁 No.3211「短期譲渡所得の税額の計算」/国税庁 No.3255「譲渡費用となるもの」/国税庁 No.3258「取得費が分からないとき」/国税庁 No.3261「建物の取得費の計算」/国税庁 No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」/国税庁 No.3302「マイホームを売ったときの特例」/国税庁 No.3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」/国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」/名古屋市「土地・建物・株式等の譲渡所得等の分離課税の税率」/財務省「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置」/国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税に関するQ&A」(2026年9月6日時点。税制は改正されることがあります。適用の可否は必ず最新の公表内容と個別の事情でご確認ください)
当社は税理士事務所ではなく、税務代理・税務相談は行っておりません。このページは一般的な制度の解説であり、個別の税務判断については所轄の税務署または税理士にご相談ください。
三重県全域に対応。30秒の無料AI査定で「今いくらか」を確認できます。
査定後に電話・メール営業は一切ありません。